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京町家で、京都の暮らしを体感できる宿、五辻庵さん

京町家で、京都の暮らしを体感できる宿、五辻庵さん

五辻庵は、西陣に位置する元呉服屋さんの京町家。風情あるその建物をリノベーションし、1 日1 組限定の貸切の宿として生まれ変わっています。
元々は水口さんのお母様の御実家でしたが、売却・取壊しの案が出たことから、一時的に維持管理することを目的に、宿泊施設として再生されました。

改修のポイント

腕の良い左官の手仕事の跡を、あえて残している台所部分(ふくらみのある梁部分)

元の姿に戻すことを意識しながら、町家の再生に携わる職人集団である「京町家作事組」との関わりの中で進めてきました。
西陣の呉服商として建築されたこの京町家は、変則的な表屋造で奥行きが深く、部屋数も多く、庭もありますが、2 階を含めて見事に再生されています。
「良い職人さんに恵まれた」とおっしゃっておられたのが印象的でした。

宿としての使用に際し、耐震にも配慮していますが、壁の強度で耐震性を確保しているため、すじかい等を加えることはしていないそうです。
また、京町家の寸法の規格が共通であることを活かして、古い建具を探して活用する一方、地域(西陣)の歴史に由来した、織物に関する風物を襖に描くなど、新旧の要素がセンス良くまとめられています。

京町家再生のコツ

特に大切なことは、「プロに任せる」こと。京町家を後世に引き継ぎやすくするためには、素人判断で不用意に手を加えるのではなく、専門家の判断を仰ぐことが大切、また、専門家の後継者を育てるためにも、プロに任せること、プロに仕事をしてもらうことが大切であるとおっしゃっておられました。
五辻庵について、元々は手がけたくなかった…とおっしゃっておられましたが、建物の随所から「人様にお世話になった分は返していけるように」という、水口さんの思い、京町家に対する誇り、こだわりが感じられました。水口さんは現在、2 軒目の京町家の再生に取り組んでおられます。