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京町家を地域で活用している才本さん

京町家を地域で活用している才本さん

才本邸は、大きな通りからちょっと入った路地にあります。元々はおばあちゃんがお一人で住まわれていたという、2 軒つなぎの長屋だったそうです。
長年、地蔵盆の会場として使われてきたこの場所が売却されることになり、このままでは地域交流の場がなくなることを懸念した才本さんのお父様が、購入されることになったそうです。
とはいうものの、古い建物のことです。地域で安心して活用できるか不安もありました。
そこで、「NPO 法人古材文化の会」に相談したところ、再生に向けて取り組むことになり、併せて町家の所有をお父様から引き継ぐことにもなったそうです。

改修のポイント

新たに設けられた台所とトイレ/トイレの扉は古い建具を活用

再利用された古い瓦

改修は、台所やトイレは室内に設けるなど、現代的な使い勝手の良さを意識しながら、「建築当時の構造・意匠に戻す」よう、木組を活かして進められました。
使えるところは残すこと、完全に固定しないことで、地震にも耐えることができるようにしています。屋根瓦なども、質の良い古いものを再利用しています。

活用した事業

才本邸の改修に当たっては、以下の事業を上手に活用されています。

◆耐震診断(京町家の耐震化支援事業)
◆京町家まちづくりファンド改修助成事業
◆京都市市内産木材供給事業

一列に並ぶ3 部屋の真ん中の床や新たに設けられたトイレの腰壁には、京都市内産の杉が使われています。
また、この改修の過程を大工さん達の勉強会の場としても提供されておられます。
壁や屋根の土を再利用した土壁は、ボランティアの「壁塗り隊」が手がけてくれたそうです。

京町家の魅力

光のうつろいを楽しめる繊細な建具

約10 ヶ月をかけて安心して利用できる町家として再生された現在、才本邸は地域の地蔵盆をはじめとして、町内の寄り合いや、イベントの場として活用されています。
「光のうつろい」が美しく、不思議と心が落ち着く空間。健康にもメリットがあるのではないかとおっしゃっておられました。

今後も地域をはじめ、いろんな方に使っていただけるスペースとして活用できるよう、管理・運営のしくみについても考えていきたいとのことです。