借り暮らしの京町家でお店を始めた浜谷さん

借り暮らしの京町家でお店を始めた浜谷さん

浜谷邸は岩上通の蛸薬師下がったところ、周辺に町家の多い通り沿いにあります。軽やかな緑色の小さな旗が、「すまいの雑貨店sumao」さんの目印です。
「古い木の家に住みたい」。そんな想いで、京都だけでなく、宝塚や奈良などの物件を探されていた中で、ご縁のあった物件がこの京町家だったそうです。
出会ったときには台所やトイレ、お風呂といった水周りは改修されていて、日常的な生活に特に不便はなかったようですが、入居して2 年後に、より快適に暮らすために、改修に踏み切られたとのことです。

改修のポイント

生活しながらの床暖房の工事の様子

居住している状態での改修工事だったこともあり、壁に貼られていた合板を剥がし、土壁を塗り直すなどの工事には、家族全員で取り組まれたそうです。
改修の大きなポイントとしては「床暖房」。冬の京町家の寒さも、床暖房を入れることで大きく変わったとのこと。
夏に暑さを感じておられた2 階部分も、屋根の下地面での断熱を行い、天井高さを確保されました。
その改修から数年後、今度は「ミセの間」をお店として活用するための改修をされています。

京町家の魅力

京町家の多くは、間口全部が公道に開いています。でもミセの間がプライベートな空間との緩衝帯になっていたり、のれんや建具で仕切ることができたり、住まい手の都合に合わせて、使いたいように使わせてくれる懐の深さも魅力の1 つ。木の柱や梁は、釘を打つこともできるし、住まい手が住まいに手を加えることができる喜びがあると、おっしゃっておられました。

京町家での借り暮らしのコツ

いろんなイベントの場としても利用できるフレキシブルな空間

格子戸からショーウインドウとなる大きなガラスの建具へ

浜谷さんのお宅は、大家さんがお近くにお住まいということもあって、改修の際の相談なども、小まめに丁寧にされておられます。大家さんとの信頼関係を築くこと、大家さんに不安を与えないように配慮することも、町家暮らしを楽しむコツのようです。
お店を始める際、建物の正面の格子から、大きなガラスの建具に変えておられます。外した格子は、またいつか、元の姿に戻すことができるように残しておられます。

「賃貸だから」というだけでなく、元々地域にあった、人よりも寿命の長い京町家に「住まわせてもらっている」、そして「次の人のことを考えて使う」ことを意識しておられる姿が印象的でした。